スーパーミネラル“亜鉛”を徹底解剖!! その①

栄養素

亜鉛ってなに?

亜鉛は体に必要なミネラルの1つです。

体内に存在する量が比較的多い5つの元素を多量ミネラル、少ない8つを微量ミネラルといいます。

その微量ミネラルの内の1つが亜鉛です。

体内には2~3gくらいしかありません。

他の体内の栄養素に比べるとかなり少ない量ですが実は素晴らしく重要な働きをします。

食事からの吸収率はおおよそ30%程度だといわれています。

そんな大事な亜鉛ですが不足している人がかなり多いのです。

一般的な食事で摂れる量は8㎎くらいです。

ですが最低15㎎くらいは必要と言われています。

つまり半分くらいしか摂れていないのです。

世界中で、約20億人が亜鉛欠乏症の影響を受けていると推定されています。

特に発展途上国では、亜鉛欠乏症が非常に一般的であることが知られています。

発展途上国では、亜鉛欠乏症が健康寿命の損失の5番目の主要な原因となっています。

先進国はというと、主には高齢者が亜鉛欠乏症の影響を受けています。

高齢者人口の約30%が亜鉛欠乏症であると考えられています。

どんな働きがあるの?

亜鉛には語り出したら1日かかってしまうほどのたくさんの働きがあります。

なので主要なところをピックアップしていうと

  • 免疫機能向上
  • アルコール分解
  • 抗酸化作用
  • 精子形成
  • 抗炎症作用

などがあります。

 免疫機能向上

亜鉛は白血球中にも多く存在しています。

特にリンパ球(NK細胞、T細胞、B細胞など)の成長に必要不可欠なホルモンである胸腺ホルモンというものがあるのですが、この胸腺ホルモンを活性化するのも亜鉛の役割の1つです。

通常であれば外から入ってきた菌やウイルスに対してこれらの免疫細胞が攻撃をしかけますが、亜鉛の摂取が足りていないと、何が敵で何が味方かが分からなくなってしまいます。

すると味方である細胞をも攻撃してしまい、その結果、自己免疫疾患といわれる疾患を引き起こしてしまう可能性があるのです。

また、風邪を引いている人に亜鉛を摂取してもらうと風邪が良くなったという臨床データも多々報告されています。

亜鉛の補給はすでに広く実践されており、複数の病気の臨床治療のために承認されています。

亜鉛は小児の下痢の治療に非常に効果的であることも証明されており、インドなどの発展途上国で何百万人もの子供たちの命を救っています。

 アルコールの分解

アルコールは体に貯めておくと良くないものなので分解して外に排出しようという働きが起きます。

このとき、アルコールを分解してくれる酵素がアルコールデヒドロゲナーゼという酵素です。

この酵素を活性化させる補酵素となるのも亜鉛です。

なので「二日酔いを出来るだけ抑えたいなー」という人にもおすすめできます。

逆に考えるとお酒をよく飲まれる方は亜鉛の消費量も高くなってしまっているといえます。

なので、お酒好きの方は亜鉛を少し多く摂取した方がいいかもしません。

ついでにいうと、アルコールは、胃腸の透過性を刺激します。

これにより、腸のバリア機能が低下し、ウイルス感染のリスクを高める可能性があります。

この状態に加えて亜鉛が不足していると免疫機能がさらに低下しやすいので容易に感染症にかかってしまうことが考えられます。

 抗酸化作用

体内のビタミンAを活性化させるのも亜鉛の働きの一つです。

酸化は万病の元といわれていますが、ビタミンAが活性化すると抗酸化作用が高ります。

 精子形成

1970年代では精液1㏄あたりに精子が1億個くらい存在していましたが、2011年には4700万個くらいしか存在しなくなっています。

昔の人に比べて現代の人は精子の数が半分以下になっているのです。

これは亜鉛不足による弊害だといわれています。

亜鉛は人体において前立腺に最も多く分布しており、精ミネラルとも呼ばれ、不足してしまうと生殖器に多大な影響を与えることは間違いないと思います。

 その他

筋トレなどで傷ついた筋組織の修復やその回復を早めるような働きもあります。

また、欠乏症として、味覚障害も知られています。

舌にある味を感じる器官である味蕾は細胞の生まれ変わり(ターンオーバー)が激しく、亜鉛が欠乏すると細胞の合成が上手く行われず、味覚が低下するのです。

というところで、今回はここまで!
次回の記事では、「注意点や副作用・亜鉛の種類」についてお話させていただこうと思います!
では、また!

次回記事はこちらから→スーパーミネラル“亜鉛”を徹底解剖!!その②

参考文献

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