こんにちはー!タニトです!
今回は、シトルリンについてお話させていただこうと思います。
筋肥大を促進したり、筋肉のパフォーマンスを上げたいといったときに摂取すべき栄養素と言えば?と聞かれたときに多くの方が思いつくのは、やはりEAAなのかなと思うのですが、EAA以外のアミノ酸でこれらの働きに寄与するものとして今回ご紹介させていただきたいのが、このシトルリンになります。
ここは結構盲点になっている方も多いのかなと思いますので、興味がございましたら、是非最後までご覧いただけると嬉しいです。
本題に入っていく前に、まずは前回ブログのクイズの答えから発表したいと思います。
正解は~~~~~~~
4番の“紅はるか”でした。
厳密に言うと糖度というのは水に溶けている固形物の量を表したものになるので、糖度が高い=甘いというわけではありません。
ですが、多くの場合(同じもので比較すると)糖度が高いと含まれる糖の量も多いので、糖度=甘さの目安と思っていただいていいと思います。
ちなみに、一般的なサツマイモの糖度が(焼き芋で)50度前後であるのに対して、紅はるかは60度くらいあり、その名前の由来は「はるかに甘い」というところから付けられたそうです。
では早速、シトルリンについて書いていこうと思います。
シトルリンってなに?
シトルリンというと、かなりマニアックなアミノ酸ですので、筋肥大やパフォーマンス向上といったといったところへのイメージが湧かない方のほうが多いのかなと思います。
日本では、2007年に初めて食品として使用が出来るようになったアミノ酸で、市販されてからまだまだ日が浅いものになります。
アミノ酸は全部で20種類あり、その内、体内で合成することが出来ない9つのアミノ酸を必須アミノ酸(EAA)、それ以外の11種類のアミノ酸を非必須アミノ酸と呼びます。
シトルリンはこの内、非必須アミノ酸に分類され、筋肉の直接的な材料というものではありません。
スイカに多く含まれる栄養素なので、各種メディアなんかでなんとなく聞いたことがあるという方であったり、これにリンゴ酸がくっついたシトルリンマレートという名前で市販されているものを見たことがあるといった方もいらっしゃるのかなと思います。
では、なぜシトルリンがサプリメントとして注目されるようになったのかというと、これにはアルギニンが関係しているのだと思います。
シトルリンというのは、アルギノコハク酸というものを介してアルギニンという栄養素になり、またシトルリンに戻っていくのですが、この過程(NOサイクル)で一酸化窒素(NO)というものが生成されます。
この一酸化窒素の働きが体内で様々な影響を及ぼし、筋肉や血管にポジティブに働きかけるということで、筋トレに向いたサプリメントとして昨今注目をされているのだと思います。
その他にも、身体に対して害のあるアンモニアを尿素に分解し、オルニチンに代謝したりといった尿素サイクルにも関与していたり、地味ではあるのですが非常に重要なアミノ酸になります。
では、具体的に筋肉やパフォーマンスに対してどんな役割を担っているのか?というところを解説していきたいと思います。
シトルリンが担う具体的な働き
筋肉・パフォーマンスに対するシトルリンの働きとして、大きく分けて4つご紹介していきたいと思います。
ATP供給量を増やす
まず、1つ目はATPの供給量を増やすということです。
僕たちがスクワットをしたりベンチプレスをしたり、様々な運動をする際に、何のエネルギーを使っているのかというと、ATP(アデノシン三リン酸)をADP(アデノシン二リン酸)と無機リン酸に分解する過程で生じるエネルギーを利用しています。
だとすると、運動効率を上げるためにはたくさんのATPが必要になります。
このATPがなにから作られるのかというと、クレアチンリン酸・糖質・脂質になります。
これらのATP材料をATP工場であるミトコンドリアに運んでいくためには、血管を通って運ばなくてはなりません。
シトルリンを摂取すると、一酸化窒素(NO)というものが体内で産生されるのですが、このNOには血管を柔らかくし、拡張を促してくれる作用があります。
血管が拡張すれば、血流量も多くなるため、その分栄養素も多く運ぶことができるということになります。
有酸素運動時にシトルリンを摂取させた研究によると、シトルリンを摂取したグループは摂取していなかったグループに比べ、ATP供給量が約30%も向上したという結果もでています。
また、ATPがエネルギーとして使われる際に、ADPと無機リン酸に分解されると、ADPはクレアチンリン酸と再合成され、再びATPとして使われるようになります。
そして、このクレアチンリン酸の回復がシトルリンを摂取することによって18~20%早くなるということも研究により明らかになっています。
なので、エネルギー源となるATPをたくさん作れるということが、シトルリンを摂ることの第一のメリットなのかなと思います。
インスリン感受性を上げる
トレーニングをした後には、食事やサプリメントなどで栄養を補給するといった方も多いかと思います。
栄養素が体内に入ると血糖値が上がり、それに伴ってインスリンが分泌されます。
インスリンは血糖値を抑える為に分泌されますが、この血糖値に対するインスリンの反応が良いほど、入ってきた栄養を細胞や筋肉に効率的に取り込ませていくことができ、その分筋肉の合成効率も高まります。
そして、NOにはこのインスリンの感受性を上げてくれる作用があり、さらには成長ホルモンの材料にもなります。
このことから、NOを産生してくれるシトルリンの摂取は筋肉にプラスに働くとされています。
疲労物質を排出する
シトルリンは、乳酸や身体に対して毒性のあるアンモニアを濾過して排出してくれるような作用も持っています。
アンモニアを尿素へと変換してく過程というのは肝臓で行われます。
その肝臓に負担がかかりすぎてしまうと、アミノ酸の代謝が肝臓内で行われにくくなってしまい、ひいては筋肉の合成が疎かになってしまうというところに繋がります。
つまり、シトルリンが肝臓の働きをサポートすることで、間接的に筋肉への好影響を作っているということになります。
mTORを活性化させる
mTOR (哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)というのは、筋肥大のスイッチとされている酵素です。
mTORが活性化すると、筋肉の合成を促してくれるp70S6K(p70S6キナーゼ)を活性化させ、同時に合成を抑制してしまう4EBP-1というものの活性を落とすことによって、筋肉の合成が促進されるのです。
mTORの活性化を促すものとして有名なのは、EAAとインスリンなのですが、ある研究によると、mTORの活性化はシトルリンの摂取によっても生じると報告がされています。
具体的には、シトルリンを摂取したグループと摂取していないグループを比較してmTOR活性(平均筋合成速度)にどれくらいの差があるのか見た研究になります。
結果としては、シトルリンを摂取したグループは平均筋合成速度が22%早くなったとされています。
しかしながら、研究対象は8名という小規模であり、被験者の体脂肪率は28~35%とやや肥満ぎみでした。
そのため、普段から積極的に筋トレに励んでいて、筋肉量が多く体脂肪が少ない人がシトルリンを摂取した際にも、mTORを活性化する効果があるのかと聞かれると、現段階でははっきりと「はい、します!」と答えることはできないので、ここは参考程度にしていただければと思います。
というところで、今回はここまで!
次回の記事では、「摂取量とタイミング・シトルリンを摂るならアルギニンを摂ったほうがいいのか⁉」についてお話させていただこうと思います。
では、また!
前回記事はこちらから→「僕の大好物”サツマイモ”を深ぼる!!その②」
次回記事はこちらから→「運動能力を向上”シトルリン”の能力!! その②」
参考文献
- [1]Citrulline: from metabolism to therapeutic use. Bahri S(2013)
- [2] Therapeutic Potential of Citrulline as an Arginine Supplement: A Clinical Pharmacology Review. Rashid J(2020)
- [3] A critical review of citrulline malate supplementation and exercise performance. Gough LA(2021)
- [4] The Effects of Oral l-Arginine and l-Citrulline Supplementation on Blood Pressure. Khalaf D(2019)
- [5] Effect of citrulline on post-exercise rating of perceived exertion, muscle soreness, and blood lactate levels: A systematic review and meta-analysis. Rhim HC(2020)
- [6] Citrulline, Biomarker of Enterocyte Functional Mass and Dietary Supplement. Metabolism, Transport, and Current Evidence for Clinical Use. Maric S(2021)
- [7] Acute Effect of Citrulline Malate on Repetition Performance During Strength Training: A Systematic Review and Meta-Analysis. Vårvik FT(2021)
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