こんにちはー!タニトです!
前回に引き続き、コエンザイムQ10について書いていきたいと思います。
今回は、「コエンザイムQ10の働き・その他の作用と研究」についてお話させていただきます。
では、早速いきましょう!
コエンザイムQ10の働き
まず、前回の記事で触れたところに戻りますが、ダイエットをしようと思った場合に、どういった方がこのコエンザイムQ10の恩恵を受けやすいのかというところで、3つを例に挙げていました。
おさらいすると、
- 運動習慣のある方、または活動量の多いお仕事をされている方
- 筋肉量が多いにもかかわらず、基礎代謝量が低いと感じられている方
- 有酸素マシンなどで算出された消費カロリーよりも実際の消費が少ないと感じられている方
こういった方には、共通していることがあります。
それは、ATP(エネルギー)の合成がスムーズにできていないことが多いということです。
コエンザイムQ10の働きは複数ある為、その全てをお伝えしていくと途方もない文字数になると思いますが、今回はダイエットという点にフォーカスしていきますので、そうなった場合の重要な働きというのが大きく1つあります。
それは、“体内のATP合成を円滑に進める作用”です。
ちなみに、他にも重要な役割としてミトコンドリアの内膜で働く抗酸化作用といったものも持っています。
余談ですが、コエンザイムQ10以上に細胞膜中での抗酸化作用が強いものがビタミンEになります。
話を戻しまして、この “体内のATP合成を円滑に進める作用”というのは具体的にはどういったことなの?といったところについて説明をしていきます。
ではまず、ATP合成の流れについてざっくりと説明します。
例えば、炭水化物を食べたとします。
食べた炭水化物はグルコースに変換されます。
そしてグルコース→ピルビン酸→アセチルCoAとどんどん変換されていきます。
アセチルCoAはクエン酸回路というところに入り、そこで水素イオンが取り出され、その先にある電子伝達系というところに運ばれていきます。
そこで水素と酸素が結合したり、様々な反応が起こることで、ADP(アデノシン二リン酸)がさらにリン酸化され、ATP(アデノシン三リン酸)が作られるという流れになります。
そして、この流れの中で、クエン酸回路の中で取り出された水素イオンなどの電子を電子伝達系に運んでくれる働きを担っているのがコエンザイムQ10になります。
なので、仮にコエンザイムQ10が無くなってしまうと、クエン酸回路でせっかく作られた物がその先に運ばれず、ATP合成に繋がっていかないということになるのです。
つまり、体の中にATPを作る材料はたくさんあるのに、それをエネルギーとして機能させられる状態に持っていけないということが起きてしまうのです。
なので、コエンザイムQ10がダイエットに効果的であるといっても、普段からあまり運動をしていない方であったり、代謝の低い方が摂取したとしても、基礎代謝や活動代謝が改善されて、消費カロリーがいきなり爆増するというようなことは考えにわけです。
もし、摂取をご検討される場合は、こういったことを理解した上で摂っていただけると幸いです。
その他の作用と研究
ダイエットに関する働き以外の作用においても、コエンザイムQ10の作用を調べた研究はたくさんありますので、いくつかご紹介したいと思います。
皮膚状態
水溶性コエンザイムQ10とコラーゲンの組み合わせたサプリメントが、皮膚密度やその他の皮膚パラメーターに及ぼす影響を調査した研究があります。
この研究では、皮膚の老化の兆候(しわの模倣/肌の色調の悪さ/視覚的乾燥)を伴う40〜65歳(平均年齢54.4±6.8)の34人の健康な白人女性が対象となっています。
被験者をサプリメント投与グループまたはプラセボグループのいずれかにランダムに割り当て、両グループとも食事と一緒に毎日10mLのシロップを摂取しました(グループ間で年齢に有意差はありません)。
サプリメント投与グループは、シロップ10mLあたりに加水分解魚コラーゲンが4000 mg・水溶性CoQ10が50mg入ったものを、プラセボグループは、有効成分を含まないフレーバーとカラーのシロップ10mLを摂取しました。
そして、12週間後に両グループの皮膚パラメーターが調べられました。
その結果、サプリメント投与グループでは、皮膚の真皮密度が改善し、眼窩周囲のしわ領域とTWS(合計しわスコアと呼ばれるもの)が減少し、皮膚の滑らかさが改善しました。
一方で、皮膚の水分率、真皮の厚さ、粘弾性に関してはサプリメントの有意な影響は測定されなかったとのことです。
高血圧症
考えられている高血圧症の発症メカニズムの1つは、酸化ストレスによって引き起こされるスーパーオキシドラジカル(活性酸素)の生成です。
スーパーオキシドラジカルは、血管内皮の一酸化窒素とすぐに反応し、ペルオキシナイトライト(生体分子を損傷させ、細胞死をももたらす毒性の強いもの)を生成します。
このようにして、一酸化窒素の生物学的利用能が低下します。
一酸化窒素の利用能の低下と同時に、血管壁を緩める内皮細胞の能力も低下し、これが血管収縮機能の低下とそれに続く血圧の上昇につながるのです。
そして、コエンザイムQ10には、血管内皮に直接的に影響し、血管拡張と血圧の低下を引き起こす作用があるとされています。
あるランダム化二重盲検プラセボ対照試験では、コエンザイムQ10投与の12週間後、収縮期血圧が正常限界まで低下することが観察されました。
また、コエンザイムQ10は一酸化窒素の生体内利用率を維持し、高血圧症の患者では血管拡張を誘発します。
しかし、健康な人では、この血管拡張効果が認められないのです。
言い換えれば、コエンザイムQ10の降圧効果は高血圧症の患者にのみ限定され、高血圧症のない患者の血圧を低下させることはないということです。
2型糖尿病
いくつかの研究において、II型糖尿病患者では、血中コエンザイムQ10レベルが大幅に低下し、血漿グルコース、HbA1C、及び酸化ストレスのマーカーのレベルが上昇することが報告されています。
そこで、コエンザイムQ10の補給が、こういったII型糖尿病の患者の臨床状態に役立つという研究があります。
Kolahdouzetalらは、II型糖尿病患者に200mgのコエンザイムQ10サプリメントを3か月間毎日摂取してもらったところ、HbA1cレベルが有意に低下したと報告しています。
同様に、Hosseinzadehらの研究でも、 200mgのコエンザイムQ10サプリメントを3か月間毎日摂取してもらったところ、HbA1cレベルの有意な改善がみられました。
また、Zahedietalらは、150mgのコエンザイムQ10サプリメントを3か月間毎日摂取してもらったところ、空腹時血糖値とHbA1cレベルが大幅に改善することを発見しました。
また、血糖コントロールと血中脂質レベルに対するコエンザイムQ10サプリメントの利点は、Zhangらによるメタアナリシスでも確認されています。
というところで、今回はここまで!
次回の記事では、「摂取上の注意点・摂取量」についてお話させていただこうと思います。
では、また!
前回記事はこちらから→代謝を促進”コエンザイムQ10”の恩恵!!その①
次回記事はこちらから→代謝を促進”コエンザイムQ10”の恩恵!!その③
参考文献
- 1)Effects of a Combination of Water-Soluble CoenzymeQ10 and Collagen on Skin Parameters and Condition:Results of a Randomised, Placebo-Controlled,Double-BlindStudy-Katja Žmitek(2020)
- 2) CoenzymeQ10-Induced Activation of AMPK-YAP-OPA1 Pathway Alleviates Atherosclerosis by Improving Mitochondrial Function, Inhibiting Oxidative Stress and Promoting Energy Metabolism-Tianqi Xie(2020)
- 3) Clinical applications of coenzyme Q10-Juan Garrido-Maraver(2014)
- 4) Coenzyme Q10 in Cardiovascular and Metabolic Diseases: Current State of the Problem-Vladlena I Zozina(2018)
- 5) Disorders of Human Coenzyme Q10 Metabolism: An Overview-Iain Hargreaves(2020)
- 6) Coenzyme Q10 supplementation: Efficacy, safety, and formulation challenges-Marta Arenas-Jal(2020)
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