一大ブームを作った“HMB”を語る!! その①

サプリメント

こんにちはー!タニトです!

今回もまた一つ、栄養の知識を増やしていきましょう!

今回はHMBについて書いていきたいと思います。

HMBというサプリメントを聞いたことがあるという人は結構いるんじゃないかなと思います。

少し前までは食品扱いではなかったので、あまり一般的ではなかったのですが食薬区分が改定されて食品扱いとなったことで、普通にサプリメントとして摂れるようになりました。

日本での流通量も増えてきていて、プロテインやEAAなんかの次くらいに名の知れたサプリメントといっても過言ではないと思います。

最近ではソーシャルメディアの広告なんかでもよく流れていますが、果たしてこのHMBは筋トレの効果を高めてくれるのでしょうか?

では、HMBについて書いていく前に、まずは前回ブログのクイズの答えから発表したいと思います。

正解は~~~~~~~

2番の「秋ウコン」でした。

そんなに使える知識ではないと思いますが、豆知識として記憶の隅っこにでも置いといてください。笑

それでは、HMBについて書いていきたいと思います。

HMBってなに?

冒頭でも少し名前を出したEAAですが、これは必須アミノ酸というものになります。

アミノ酸は全部で20種類あり、その内、体内で合成することができない、つまり食品などで外から補わないといけない9種類のアミノ酸のことを必須アミノ酸といいます。

この9種類の必須アミノ酸の一つにロイシンというアミノ酸があります。

このロイシンが、体内でまず、KIC(ケトイソカプロン酸)というものに変わります。

そしてこのKICがHMB(βーヒドロキシ‐βーメチルブチレート)になっていきます。

なので、ロイシンというアミノ酸が体内で代謝されていき、最終的にHMBへと変換されるといった流れになります。

そして、アミノ酸は体たんぱく質を合成するための材料になるのですが、一方でHMBは「この材料を使って筋たんぱく質を合成しなさいよ~」というシグナルを発信する働きを担います。

なので、理論上は筋肉の発達に良さそうですが、実際の研究ではどうなのでしょうか?

HMBの効果が肯定されている研究

まず、HMBの摂取は筋肉の発達に効果的だ!という結果を導き出した研究を紹介していきます。

ウィルソンらによって行われた研究では、トレーニングをしている20人の男性被験者に対し、1日あたり3gのHMB補給を12週間継続させたところ、その有効性が確認されました。

この研究では、プラセボグループと比較して、スクワットおよびベンチプレスの重量の増加が示されました。

また同時に、除脂肪量(+1.8 kg)、および大腿四頭筋の厚さ(+4.8 mm)などの変化も、HMBを摂取した被験者で観察されました。

また、パントンらは、レジスタンストレーニング中に1日あたり3gのHMBを4週間補給した場合の影響を評価しました。

補給期間後、1-RM強度の増加は、上半身の運動のHMBグループで観察されましたが、プラセボ群と比較して下半身の強さに有意差はありませんでした。

またこの研究においても、HMB摂取グループでは除脂肪量(+ 1.4kg)および体脂肪(-0.9%)の好ましい変化が観察されています。

また、Ransoneらによる研究いおいても、HMBの補給がプロのサッカー選手の体脂肪を減少させ、除脂肪量を増加させることが確認されています。

HMBの効果が否定されている研究

次に、HMBの摂取は効果がない!という結果を導き出した研究を紹介していきます。

Kreiderらによって実施された研究では、 40人のトレーニングをしている男性に対し、 1日あたり3〜6 gの用量でHMBを4週間補給したところ、1-RM変数に有意差はありませんでした。

同様に、彼らは体組成の違いも観察されませんでした。

また、28人の男性サッカー選手を対象とした別の研究においても、1日3g4週間のHMB補給で有意な影響は報告されていません。

さらに、1-RMテストでは、 HMB補給グループとプラセボグループにおいて、ベンチプレス、スクワット、パワークリーンを組み合わせた3つのリフトすべての総リフト量で、グループ間に有意差は観察されませんでした。

また、 Kreiderらは40人の男性(これに関してはトレーニング経験者か未経験者かの記載がなかったのでわかりません)を対象とし、 HMB摂取グループとプラセボグループに分け、 8週間の補給後、1RMベンチプレスと1RMスクワットの強度の変化を調査しました。

その結果、両者間に有意差はありませんでした。

また同時に、外側広筋と大腿直筋のボリュームも比較されましたが、有意差は認められませんでした。

また、スレーターらは、訓練を受けた22人の男性(オーストラリアの水球と漕艇のオリンピック選手)を対象に同様の研究を行いました。

1日3g6週間のHMB補給後、3RMベンチプレス、レッグプレスの強度に対して、プラスの影響は示されませんでした。

さらに、体組成の変化も観察されませんでした。

HMBを売りたがる理由

このように、現状では、HMBには効果があるという報告もあれば、効果がないという報告も散見され、結果にばらつきがあり、科学的根拠が曖昧である中で、誇大広告をしてでもHMBを売りたい業者が一定数いるのには理由があると思います。

それは、単純に製造コストが安価であるということです。

サプリメントを販売するにあたり、日本にあるほとんどの企業はOEMを利用します。

OEMは受託製造といって、自分の会社には工場がないので自社で製品を製造することはできないが、自社のブランドで製品を作りたいとなった場合に、それができる会社に製品を作ってもらい、出来上がった製品を自社のブランドとして販売するといったものです。

サプリメントを販売するにあたり、必ず原価率というものがあります。

簡単に言うと、販売する商品の原価が何%なのかという指標です。

例えば、1000円で売られている商品の原価率が10%であれば、原価にかかっているお金は100円ということになります。

そして、余った900円がその会社の利益になるわけです(厳密には、送料や諸々の手数料、広告宣伝費なども必要コストとしてかかるため900円が丸々入るわけではありませんが)。

なので、なるべく利益率を上げるために原価はできるだけ抑えたいということがあると思います。

皆さんもよく知っている、ファンケルやサントリーやDHCといったメーカーがありますが、それら大手企業の原価率は様々な商品を平均してファンケルで約33%、DHCで約37%、サントリーで約13%くらいです。

ここに関しては、製造にお金を使うのか、広告にお金を使うのかなど、それぞれの企業の戦略があると思うので、一概にそれが良いとか悪いとかは言えませんが、大手企業で大量のOEMを発注できるところでもそれくらいの原価率はかかるということです。

一方で、HMBは安いと4%~5%くらいの原価率で作れてしまします。

中国産のHMBの原価は物凄く安く手に入り、商業利益が出しやすいので、HMBの効果があるのかどうかも不明瞭であるにもかかわらず、日本市場を先行しているのにはこういった背景が一つあるのだと思います。

あとこれは余談ですが、商品化するとあまり分からなくなりますが原料はめちゃくちゃ臭いそうです。

基本的にサプリメント開発においてその原料となるものは、臭くて不味いものがほとんどです(ちなみにグルタミンは割と無味・無臭だそうです)。

その中でもHMBはトップクラスに耐え難い匂いと味だそうです。

つまり、HMBを商品化するにあたって、この匂いの部分に関しては各企業が結構苦労しているんだろうなーと思います。

というところで、今回はここまで!
次回の記事では、「個人的に思うこと・摂取パターン・副作用」についてお話させていただこうと思います。
では、また!

前回記事はこちらから→あまり知られていない“ウコン”の魅力!!その②
次回記事はこちらから→一大ブームを作った“HMB”を語る!!その②

参考文献

  • [1]Leucine Metabolites Do Not Enhance Training-induced Performance or Muscle Thickness
  • [2]Health Benefits of β-Hydroxy-β-Methylbutyrate (HMB) Supplementation in Addition to Physical Exercise in Older Adults: A Systematic Review with Meta-Analysis.Courel-Ibáñez J, Vetrovsky T, Dadova K, Pallarés JG, Steffl M.(2019)
  • [3]Mechanism of Action and the Effect of Beta-Hydroxy-Beta-Methylbutyrate (HMB) Supplementation on Different Types of Physical Performance – A Systematic Review.Kaczka P, Michalczyk MM, Jastrząb R, Gawelczyk M, Kubicka K.(2019)
  • [4]A double-blind placebo controlled trial into the impacts of HMB supplementation and exercise on free-living muscle protein synthesis, muscle mass and function, in older adults.Din USU, Brook MS, Selby A, Quinlan J, Boereboom C, Abdulla H, Franchi M, Narici MV, Phillips BE, Williams JW, Rathmacher JA, Wilkinson DJ, Atherton PJ, Smith K.(2019)

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